東京地方裁判所 昭和42年(借チ)2028号 決定
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〔決定理由〕一、・・・・
2 ところで申立人らは、右借地(編注、別紙目録(一)の(1)の宅地)上に存する別紙目録(三)の(1)の建物及びその敷地にあたる同目録(一)の(2)の89.9775平方米の土地の賃借権を建物の賃借人甲に譲渡したいと考えている。
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二、取調べた資料によると、・・・・本件賃貸借成立の当時、本件土地に借地法は施行されていなかつたので、同法附則第一七条の規定により、右賃貸借の期間は契約後二〇年の昭和三二年一月一九日をもつて満了したが、借地法の規定により期間を昭和五二年一月一九日までとして更新されたものと認められる。
三、次に、本件は借地の一部についての賃借権の譲渡であるが、本件資料によると、残る部分に存する別紙目録(三)の(2)の建物はその敷地部分の借地権とともに建物の賃借人田中に譲渡することになり、これについては相手方において坪当り一万四〇〇〇円の承諾料の支払を受けることを条件として承諾することを約していることが認められる。
そして、右資料によると、相手方は本件の譲渡人甲が借地人となることを好まないようであるが、同人は本件建物内で美容院を経営して相当の収益をあげ、その資力は十分であり、その社会的信用その他の点から見て、本件譲渡により、借地法第九条の二第一項にいう意味において相手方に不利となるおそれはないものと認められる。
よつて本件申立はこれを認容すべきである。
四 次に附随の処分について検討する。
本件で調べた資料によると、申立人らの先代忠次郎は賃借に当り権利金等の支払をしたことはなく、その後も本件賃貸借に関し更新料等の金銭の支払われたこともないこと、また賃料は昭和三〇年当時一ケ月坪当り七円であり、その後増額されて昭和四〇年には同じく二四円、昭和四二年七月からは同じく四〇円となつて現在に至つていることが認められる。右事実によると本件借地権価格はいわゆる自然発生的のものであり、賃借人がこれを処分して対価を取得するに当つては、そのうちかなりの部分を賃貸人に還元して然るべきものと考えられる。かような点に加え、前述の申立外田中に譲渡する関係で合意の成立した承諾料(相手方が田中に対する関係ではかなり好意的であつたことは本件手続の経過に徴し明らかであるから、事情の異る本件の場合にそのまま前例として考えるのは相当でないが、一応これを参酌して妨げないであろう。なお、この場合、田中の譲受ける部分は間口が狭いため、店舗敷地としての利用価値が低く、本件の甲が譲受ける部分とかなりの差異のあることを考慮するのが相当である)及び鑑定委員会の意見を参酌し、前述の借地に関する従前の経過に鑑み、右意見よりもやや高く借地権価格(ただし、申立外田中に対する譲渡部分をも含めた借地全体の平均的価格)の約一割三分に当る金五〇万円をもつて財産上の給付額と定めることとする(右借地権価格については、鑑定委員会の意見に従い、3.3平方米当り金一四万円、本件譲渡部分全体につき約三八〇万円と算定する。)。
なお、借地期間、賃料については、特に附随処分において変更する要がないものと考える。(安岡満彦)